「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓にできる肝臓がん、肝炎ウイルスに感染すると、肝炎、肝硬変、そして肝臓がん、という経過をたどっていきます。
しかし近年は、肝炎ウイルスの感染者が減り、一方で肝炎ウイルスを除去する治療が飛躍的に進歩し、特にC型肝炎ではウイルスをほとんど駆除できるようになったことから、肝臓がんで亡くなる人も減ってきています。
ウイルス性肝炎が減る一方で、脂肪肝を原因とする、新しいタイプの肝臓がんが増えています。
肝臓がんの主な初期症状は、腹痛や全身倦怠、お腹の張り、食欲不振などがあげられます。
しかし、これらの症状は、他の疾患でも現われるものであり、また、症状があまり強くでないケースもあります。
症状が進行すると、黄疸や体重減少、腹水、貧血といった症状がでます。
ただ、これらの症状がでる前に、がんが他の部位に転移し、その転移したがんの症状に気がついてから、肝臓がんだったとわかるケースが、少なくありません。
このように、肝臓がんは早期発見が難しく、そのため、治療が困難になってしまうことが、珍しくないのです。
皮膚や白目の部分が黄色くなる黄疸症状は、肝機能が半分以上落ちないと出ないため、肝臓がんは無症状で進むのが原則です。
多くの場合、見つかる契機となるのは、黄疸などの症状ではなく、定期的な健康診断です。
腹部エコー(超音波)や肝機能を調べる血液検査など、しかるべき検査を毎年受ければ、症状が出る前に肝臓がんを発見する可能性が非常に高くなります。
肝臓がんは再発が多く、肝臓がんと診断されてから5年後の生存率は約45%です。
治療の選択肢は手術以外にも、ラジオ波の熱でがんを焼くラジオ波焼灼療法などさまざまあり、患者の年齢や体力、手術できれいに取れるか、転移はないか、肝臓にどのくらいの予備力があるかなどを考慮して決定されます。
肝臓がんは、C型・B型肝炎に感染している人、脂肪肝のある人のほか、アルコール摂取の多い人、糖尿病の人、高齢者などにおいても発症リスクが高いことが分かっています。
したがって、肝臓がんの予防のポイントは、過剰な飲酒をしない、糖尿病を悪化させない、肥満を解消して脂肪肝を改善するなどになります。
進行した肝硬変がある場合を除き、運動も推奨されています。
軽度の運動により、体重が減る前に脂肪肝が改善することが分かっています。
肝臓がんは、予防と早期発見が大事…
肝臓がんは、確かに完治が難しいがんです。
しかし、早期発見できれば、決して対応できない疾患ではありません。
近年では、開腹してがんを摘出する外科療法だけではなく、超音波で病巣を探しだして針を刺し、エタノールを注入してがんを死滅させる「経皮的エタノール注入法」などのような、開腹が不要な治療法も増え、生存率も上昇しつつあります。
だからこそ、他のがん同様、早期発見に努め、治療法の選択肢を増やすことが、とても大切なのです。
また、B型・C型肝炎ウイルスに感染したから、あるいは慢性肝炎を発症したからといって、必ず肝臓がんになる、ということではありません。
B型・C型肝炎ウイルスの感染が発覚したら、飲酒を控える、ストレスを溜めないようにするなど、肝臓に負担をかけない生活を心がけましょう。そうすれば、予防も可能です。
そして、定期検診を欠かさずに受け、血液検査を行なうように心がけましょう。
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